会津八一歌碑（つづき）
もともと八一の定宿であった日吉館にあったものを、日吉館の閉館に
ともなって、隣の飛鳥園に移した。おなじ歌の碑が二基ある。
かすがの の よ を さむみ かも さをしか の
まち の ちまた を なき わたり ゆく
春日野の夜は寒いためだろう、牡鹿が街中を鳴きながらわたっていくようだ
藤原時代の立派な皇后を、実際に、相みるような赤い唇であることか
あきしの の みてら を いでて かへりみる
いこま が たけ に ひ は おちむ と す
一人で来て、悲しんでいる私に、寺の白壁に、汽車の響きが行き帰りする。
秋篠寺を出て、振り返ってみると、生駒山に日が落ちようとしている。
斑鳩の里の娘たちは、夜が更けるまで、機（はた）を織っている。秋が近づいたからだろうか。
2012，11月６日除幕
しぐれ の あめ いたく な ふり そ こんだう の はしら の まそほ かべ に ながれむ
